学生のための臨床実習への心構え(準備)を知る

  目次

1.   実習の目的は?

2. 実習のシステムは?

3. スーパーバイザーの生態とは?

4. 実習の効果って?

5. 実践編

❶実習前にすること

❷実習が始まったら

❸実習終了間近のアピール

❹実習が終わってから

6. 付録

【実習直前チェックリスト!】

【実習計画表】

以下、本文です。________________

みなさん理学療法学生にとって臨床実習は…

つらそう

恐いバイザーならどうしよう

あー面倒

という感じでしょうか?

実習は試験でもなく怒られる所でもありません、学ぶ場所です。

のびのびと自分を出し、患者さんに向き合って下さい。

そこで初めて、自分に足りないものが何であるか分かります。

働き始めると実習のように一人の患者さんを通じてマンツーマンで先輩が教えてくれることはありません。

仕事につくと、深く学ぶことが多くなり理学療法を広く捉えることが少なくなります。今は広く大きな視点で理学療法をみてください。そんな時間も実習の特権です。

  過剰な緊張は必要なし。大丈夫。

この資料は実習の際に今一度確認することによって落ち着いて実習を実施できることを期待するものです。

1. 実習の目的は?

実際の患者さんへの対応を通じて自分の学びを整理し、不足を補う必要性を理解するため。

このような目的からすると、自分に何が不足しているのか判断しなければなりません。みなさんは自分のことを客観的に判断するには若すぎるかもしれません。そこでバイザーの助言・支援が必要になってくるのです。今の自分の立ち位置を確認し、さらなる成長を求めるためには目標を立てることも大切になります。

目標を立てると言っても、どんな?と迷うことでしょう。

下記の表1.に目標ステージの例を示します。

これを参考に今現在の自分の立ち位置と今後の目標を考えてください。

テキスト ボックス: ステージ	ステージ内容	到達目標
Initial	コミュニケーションステージ
 発言・傾聴・受け答え・敬語	バイザー、リハスタッフ、患者さんと話して自分の思いを伝えられる。
First	情報収集ステージ
 問診・カルテ等外部から・
 データ収集(検査測定)	聞く・見る・触れる・測る・観察により文章、数字で表現できる。
Second	目標設定ステージ
 共有目標はどこに?
 短期・長期・最終と時期で決める	目標設定し、その理由を説明できる
Third	阻害因子と解決方法
 各時期目標に対して考える	その達成をはばむ原因と改善方法の提示ができる
Fourth	治療ステージ
 部位・方法の選択、実施
 リスク管理を意識しながら	具体的な部位で治療を実施、同じ効果を得られるような複数の方法を考えられる。
Final	効果判定ステージ
 効果判定、方針変更、実施という連続サイクルを意識して	日々効果を判定し自分の治療に責任を持つ。効果なければ次の戦略を実行する。

表1. 実習ステージと目標設定

この目標ステージの特徴は初期時にコミュニケーションを挙げていることです。コミュニケーションが苦手、不十分だという人は最後までこのステージを意識しながら次のステップをクリアしていくことが大切です。

情報収集や評価技術といえども学生時代に十分になることはありません。その位、重要で難しいものです。何度も多くの人に対して経験を積まなければなりません。

最終的にはFourthステージを経験できるよう考え目標設定ができると良いですね。

クリニカルクラークシップ(診療参加型臨床実習)での実習はFourthやFifthステージの目標は難しいかもしれません。

総合臨床実習(最終学年)だからと言って最初からFourthを目標にする必要はなく、自分を省みて無理のないところから着実にクリアすることを勧めます。

実習目標は、個々の学生で違っていて当たり前です。

このように各々が自分の目標を立てて実習を送ることができれば有意義だと考えます。

もう一つの大事な目的です。

理学療法士という社会人になるための勉強。

この点については論じられることはありません。なぜなら、実習では求められていないからです。ところが裏メニューとして社会教育の場になっているのは事実です。そのことを学生さんもバイザーも意識していないことが実習を難しくしている原因の一つであります。あとで詳しく述べますが、社会人としての話し方、表情、しぐさ、等々大切なことがたくさんあります。特に理学療法士は対人能力を高いレベルで要求される職種です。

ガードナーの多重知能説によると、人間の能力は7つに分類されます。

1.言語的能力

2.論理数学的能力

3.音楽的能力

4.空間的能力

5.身体運動的能力

6.対人的能力

7.個人内能力

理学療法士に置き換えてみるとどうでしょう。

音楽的能力以外はどう考えても外せない能力です。つまり人間の能力のほとんどを用いて職務に挑むのが理学療法士だと言えます。

2.実習のシステムは?

どこの養成校であろうとほぼシステムは変わりません。

養成校と病院施設が契約をかわし、基本的には一定期間を終日病院施設にて学習。

その際、教官ではなく病院施設職員により指導されます。

多くの場合、学生はひとりで学習することが多いです。

あなたは一人で大丈夫ですか?

実習のことを相談できる友達や先生はいますか?

準備はしましたか?

これらの点を理解するのは重要になります。

一人が心細いひとはたくさんのフォロワーを準備してください。

もっとも大事な存在はクラスメイトです。違う分野の友達ではなく同じ勉強している仲間です。もしいなければすぐに仲良くなるべきです。実習先の施設やバイザーの愚痴を共有できる仲間が必要なのです。親や地元の友人の存在も大切ですがクラスメイトにはかないません。学校の教員も相談にのってくれますが中立的立場になる事が多く、その場合には心の味方になりません。

何を隠そう私がそうでした。北海道から群馬に来た私はクラスに馴染めずカッコつけて孤立していました。しかし実習が始まり急に孤独に耐えられなくなったのです。これは大変だ、クラスメイトに頼らないと実習を乗り切るどころか病んでしまいそうと赤信号がバンバン灯ったのです。

さあ困った時はクラスメイトです。今からでも遅くない!クラスメイトと仲良くなって支えあって実習を乗り切りましょう。

さらに、何事も準備は大切です。準備が完璧なら終了したのも同然です。あのスティーブジョブスがiPhoneやiPodを発表した時のプレゼンは世界的に賞賛されました。ではジョブスはプレゼンの天才でしょうか?いいえ。あれは準備のなせる技なのです。約半年間を数名の専属スタッフとともに何度も直し、繰り返し練習して出来上がった作品だそうです。

いつもと違う環境での学びには準備が大変重要で、それによって実習の充実度まで影響します。

何を学ぶか?そのための資料を準備しましょう。具体的なことは後ほど(5.実践編にて)説明します。

3.スーパーバイザーの生態とは?

スーパーバイザーについて知っておくことも重要です。

スーパーバイザーは5年以上の臨床経験をもたなければなりません。現在、認定制度はなく誰でもできる状況です。逆に誰でもできる状況にしなければ学生の数に対応できません。良い指南書が少なく指導者養成の対策も十分ではないため各施設、各バイザー個人によって指導方法が異なります。

それが指導の内ならば良いですが、明らかに不適当な言葉使いのバイザーもいるかもしれません。どこの世界にもハラスメントが存在する可能性はあります。その時はすぐに学校の先生に連絡取りましょう。お世話になっているとはいえ、そこの問題は放っておいてはいけません。そこは学校側と病院施設側の問題になります。悩む前に連絡する!

スーパーバイザーの他にサブバイザーが指導することも多いです。またはケースバイザーと呼ぶこともあります。ベテランより若いバイザーほど一生懸命なので厳しい指導をする傾向があります。添田によると実習生の問題点において学生さんと同じ傾向になるのは経験年数が10年以上のベテランであり、5-10年のバイザーは要求水準が高い傾向があることが示されています。

病院職員に指導教育能力があるのか?

臨床家は教育の専門家ではありません。だから、教え方が下手であったり指導方法がバラバラであったりします。その部分は大目にみてください。

濱田らによると82.4%のひとが臨床実習に関心があると回答しています。その内の82.8%の方が指導することによりバイザー自身が成長すると考えています1)。このように多くのバイザーは一生懸命です。しかし、臨床実習の到達目標や意義が十分な論議を経ていない状況(異論がある理学療法士もいるでしょうが)では教育・指導という状態にはなり得ないのです。ですから当院では指導ではなく支援することを念頭に実習をすすめております。

あまり触れられていないことですが病院施設側は1日あたり1,500円前後という金額をいただいています。ですがバイザー個人に支払われることはありません。あくまでもバイザー達のボランティア精神による指導であることを理解しなければなりません。見ず知らずの後輩のために貴重な時間を割いて悩みながら指導してくれる先輩達、尊敬に値すると思いませんか?

4.実習の効果ってある?

昔の実習は即戦力の育成、かつ実習中も戦力扱いでした。どこの病院もスタッフは不十分でひとりの理学療法士が1日30人診ることもありました。そんな時には学生が間を埋めるために利用されました。学生とはいえ一度に5〜8人位を担当していました。また、手をかけたくてもかけられない理学療法士より学生がじっくり診た方が基本動作能力など向上することもありました。

実際に臨床に出ても先輩も少なく実習の経験が全てでした。つらく厳しい実習もなくてはならない存在でした。

では、現在はというと実習での担当経験が少なく終日見学というスタイルも多い状況です。患者さんが拒否するなど難しい面もあるようです、このように現実は学生さんが患者さんに触る時間は相当減少せざるを得ないのです。学校側もそれで十分だといいます。ところがそのまま臨床に入るとどうでしょう?昔のような即戦力にはなりません。入職後半年間は実習状態、学生だけでなく新人にも教育指導が必要になります。スーパーバイザーは益々多忙になり充実した臨床実習はさらに遠のいているのが現状です。

さて、実習は効果があるか?という話に戻りますが、永冨によると「実習のスーパーバイザーから何を学びましたか?」という調査を自由記述にて実施したところ、最も多い回答が【理学療法に対する基本的姿勢、心構え、対人関係】で、学生10/18名、理学療法士11/13名から得られました。

知識や技術は学校の延長や再確認と考えての回答かもしれませんが、バイザー側からすると「意外?」です。そういう事を教えているつもりはないからです。では、なぜこのような結果になるのでしょうか。

それは私たち臨床家が知らず知らずに重要な技術を伝えているのです。それを技術とは知らずに学生さんは姿勢、心構え、対人関係という人間性の部分への指導と感じたのでしょう。私たちが患者さんや同僚、上司と無意識に行っている会話や行動をとても重要視しているということです。

問題はそれを無意識に行っていることです。この接遇とは違う対人能力という技術を確立しなければ解決できないのかもしれません。

即戦力に近い状態の学生から、やっと理学療法に興味を持ちモチベーションが高まった学生まで様々です。それぞれが自分なりに目標をもち成長できれば実習の効果があったと言って良いと思います。最近では理学療法分野に希望を持てないまま実習に参加する学生さんも多いと聞いています。今後理学療法士として働かなくても実習は大変勉強になると思います。実習の半分は社会人としての学習ですし、論理的思考の練習は他職種でも生きてくると思います。

5. 実践編

❶実習前にすること

⑴ 事前連絡;実習開始1-2週間前に電話にて連絡し諸確認をする。

          何時にどこへ行けば良いのか?

          特別な持ち物はあるのか?

         服装髪型等の決まりがあるのか?

         事前学習のポイントは?

など、3分程度にまとめられるとよい。

当然ですが治療中は出られないので昼休憩の時間をねらう。

この電話連絡だけで、大人としての経験値が分かります。無理につくろう必要はありませんが、少し気を使うだけで印象が変わります。

よい質問はクローズドクエスチョンではなく制限のついたオープンクエスチョンが望ましいです。

Closed question(yes or noで答えるような質問)の例

Q;「ケーシーでよいですか?」

A;「はい(当たり前)」

open question の例

Q;「何を持っていけばよいですか?」

A;「筆記用具、制服、上履き、実習書類…(あー面倒くさい)」

とバイザーを困らせないで、こう聞きましょう。

「ケーシーと上履きと筆記用具、書類以外に用意する物はありますでしょうか?」

「ケーシーは学校指定の物です。髪は長いので束ねていきます。通勤時の服装等も含めまして気をつけることはありますでしょうか?」

「(貴院が)整形外科疾患が中心だとお聞きしました。術後の理学療法や運動器疾患について学習しております。他にも学習した方がよいことがありましたら教えていただけますか?」

こう質問できれば大人力アップ間違いなし!

⑵ 実習地域下調べ;実習施設地域の経済・文化・環境の特徴を把握しましょう。Web上のデータで十分です。これにより対象者の社会・家屋環境、交通状況のイメージをふくらませる準備ができます。

当地域(みなかみ町)を例とすると、

群馬県で最大面積の町、利根川の源流であり、観光と農業の町。

人口は2万人、高齢化が進んでいる。冬は雪が降るが山間部と平野部では全く様相が異なる。特に藤原地区は豪雪地帯で雪に閉ざされる。

⑶ 実習施設下調べ;実習施設の特徴を把握する。何床?種別?(総合・一般・回復期・老人・認知・ユニット等)、急性期・回復期・維持期?

リハビリ室の特徴:主な特徴があるのか、どんな研究を行い発表や論文を出しているのか?を検索するだけでも十分だと思います。病院や施設のホームページ上に特徴など情報が少ない場合には、

【◯◯病院 理学療法 論文】で検索すればなにかヒットします。

これでも不明な場合には、J-stageやCiNiiという文献検索サイトの中で、

【◯◯病院 理学療法】で検索をかけます。バイザーの名前が分かっている場合にはその氏名を加えた方が良いでしょう。

また先輩たちに状況を聞くことも大切だと思います。

相手のことを知っている方が落ち着いてコミュニケーションを取ることができます。

⑷交通手段の最終確認

交通手段は一つでは足りません。二つ以上考えておきましょう。何かトラブルに見舞われた時、急に違う手段をとり慌ててしまうと危険なことが多いのです。パニックは人に間違いを起こさせます。電車が動いてないので一度家に戻って自家用車で来たら事故を起こした、というような話はたくさんあるのです。車(マイカー・タクシー)、路線バス、電車(JR・私鉄・地下鉄)、徒歩、自転車…いくつかのバックアップを用意しておくことが大切です。

⑸事前学習・準備

実習施設に多い疾患等の資料・文献を調達しておきましょう。

勉強して覚えるより臨床的な資料・文献を探し、いつでも参考にできるように手元に用意しておくことが肝心。特に症例報告は大いに参考になると思われます。当然ですが先輩たちの資料も大変参考になるでしょう。

❷実習が始まったら

⑴実習は予習・復習を求められます。予習といっても翌日の予定です。全期間を通した予定に加え、明日の予定を計画し準備することが大切です。復習とはデイリーノート等で指導されたポイントや追記事項の確認、それに付随する学習。をすることです。

 全体的スケジュールの一例

初日      挨拶回り、オリエンテーション、見学

二日目     見学、掃除補助、

三日目     担当患者紹介、見学

四日目     情報収集、見学

五日目〜九日目 検査測定、見学

十日目〜    治療、見学

このように進むことが多いです。イメージしておくと良いでしょう。

さらに1日のスケジュールは下記にようになります。

1日のスケジュールのpart1(上牧温泉病院 2:1実習の場合)

9:00-  9:30  フィードバック

9:30-10:00  学生ミーティング

10:30-11:30  担当ケースのバイザー治療見学

11:30-12:30  学生同士治療模倣実技練習

12:30-13:30  昼休み

13:30-15:00  見学

15:00-16:00  担当ケース検査測定

16:00-16:30  学生ミーティング

16:30-17:00  見学

17:00-17:20  バイザーとのミーティング

⑵バイザーやスタッフとのコミュニケーションの取り方

まずは年長者として敬う気持ちをもち、呼称は先生でいいでしょう。先生と呼ばれるのを嫌うバイザーは訂正してくれます、その時は指示に従いましょう。バイザーも学生さんとのコミュニケーションを望んでいます。良いバイザーは各人のキャラクターに合わせて指導する術をもっています。もちろん他のスタッフともコミュニケーションをとることをお勧めします。多くの社会人と接点をもつことは自分を省みて客観的に見つめ直すことができます。自分の社会における立ち位置のような所もつかみやすくなるでしょう。

具体的にコミュニケーションで大切なのは表情と仕草です。アルバート・メラービアンによると言葉が果たす役割は7%にすぎず、表情や態度が55%を占めると言っています。

みなさんも表情が乏しい人と話をしていると「つまらなそう」と判断しませんか?伏し目ではなく見開く。口角を下げずに軽く閉じる。時には笑顔、そして頷きなど。頚から上は大忙しです。

もし、表情を作れない人は言葉でがんばってください。

「へー、ほー、なるほど、んー、そうですね・・・」

一生懸命、言葉を相槌がわりに返すのです。

もともと表情が豊か過ぎるひとは大げさな言葉や相槌を控えるとバランスが取れて相手も話しやすいでしょう。このようなコツもひとつの技術と割り切ってトライしてみてはどうでしょう?

話の聞き方

うなずき:うなずきには「イエス」という意味があります。「なるほど」「理解できます」というジェスチャーの一つです。話を聞いていますよというジェスチャーにもなります。ぜひマスターしたい技術です。逆に顔をうつむいたり傾けたり、肩をすくめる動作は「分からない」ことを意味します。

「教えるのが下手」という意味はわかるでしょう。では「教わるのが下手」という意味が分かりますか?教えてもらう側が分からないジェスチャーや興味のないしぐさで話を聞いているかも分からない場合は教える方もモチベーションが低下します。そうすると教える気力がなくなり、結果的には教えないという状況が発生するのです。特に実習のようなボランティアに近い活動ではよくあることと想像できます。

話をするときの距離感

パーソナルスペースについて。

インティメットゾーン(intimate zone);15-46cmの範囲。この距離は自分の体の一部と判断するため親しい間柄のみ許される。恋人・家族・親友等

パーソナルゾーン(personal zone);46-120cmの範囲。各種パーティーなど社交の場、友人どうしの集まりなどはこのくらいの距離を保っている。

ソーシャルゾーン(social zone);1.2-3.6mの範囲。宅配業者などよく知らない人とのやりとりに心地よい距離。

パブリックゾーン(public zone);3.6m以上。大勢の人を前に話をするときなどはこのくらいの距離を保つ。

患者さんとの距離間、バイザー(上司・同僚)との距離はどうでしょう?

よく知らないひとなのでソーシャルゾーンのはずですが、それでは検査測定すらできません。これこそ我々の仕事の難しさの一つです。仕事とはいえズケズケと患者さんのパーソナルゾーンに入っていく必要があるのです。ではどうするのか、できるだけ短時間で親密つまり信頼を得る。傾聴・説明だけで十分な場合もありますが、そうでない場合が問題です。その場合には初めは手だけパーソナルゾーンに入れるという作戦です。顔や腰は遠ざけておくことをお勧めします。徐々に慣れさせるために患者さんの手足をこちらのインティメットゾーンに入れるというのも効果的です。触れることによる安心感が信頼につながることはよくあります。(が、逆もあり。最初に触って痛みを出すと信頼を失います)

有効なしぐさ

ミラーリング

皆さん知っての通り、相手に合わせて動作をすることです。同調と考えると分かりやすいでしょう。相手に合わせて同調すれば「私はあなたに共感しています、好感を持っています。」というジェスチャーになるのです。

バイザーに面と向かってミラーリングはないでしょうが、バイザーの治療を真似ることができれば相当プラスの好印象、患者さんに対して一緒にトレーニングを行ったり、歩行練習・立ち上がり練習などをミラーリングしていると言って良いのでしょう。

⑶遅刻・早退・欠席について

無断遅刻や無断欠席をしないのは当たり前、絶対ダメと言いたいのは「無断」という点。人間だれでも一度の寝坊くらいはします。しかし無断ではいけません。失敗を最小限に食い止める。これは社会に生きるうえで大切なことだと思います。誠意をもって報告し、必要ならば謝る、テキトーな嘘はすぐにばれます。

❸実習終了にむけた頑張るアピール

終わりよければすべてよし。と言われます。あと一息頑張ってください。

実習もあと数日になると、みんな自分らしさを出せるようになります。

(特に最終日の解放された表情は別人のようですね。)

その自分らしさを出せた時に、どう患者さんと接するのか。これを自分で確認できることは重要なことになります。

また、少数派ですが最後になるにつれて手を抜く学生さんもいます。自分のやるべきことが分かっていない人は仕事をしても自分のことしか考えないので、チームを組むリハビリでは力を発揮できません。最後こそしっかり学びたいものです。

❹実習がおわってから

自分が経験したことを知識として自分のものにするためには「省みる」ことが重要です。大きなストレスがかかる環境での学びは深く記憶に刻まれると言われています。つまり実習先での学びは忘れられない知識となり非常に価値の高い学習といえます。

それに加えて「省みる」ことができるなら、深く、広い知識へと変換されることでしょう。

このことはどの学校でも実施している「実習後セミナー」にも表れています。みなさんセミナーは適当にやっていませんか?この内省行為を一生懸命頑張ってください。

実習は学校に戻っても続いています。

❺番外編

その他のちょっとしたことを集めました。

〈ここは損だよ、実習生〉

なんども同じ注意を受ける

教えたことをスルーする;教えたことが全く反映されない

元気がない;元気がないとやる気もないと感じてしまう

リアクションが薄い;聞いているのか?聴く気がないのか?

自分に自信を持ちすぎる

最初に言い訳をしてしまう

《これをやったらほめられる》

教えたことの次まで考えてくる

教えたことをすぐに生かす

積極的に行動できる

付録

【実習直前チェックリスト!】

□ 実習先への電話連絡

□ 筆記具

□ メモ帳 二つ

□ デイリーノート

□書類

(□出席表 □成績表 □施設間連絡票 □実習目標カード □                      )

□お金

□身分証

□ケーシー等ユニフォーム

□上履き

□資料の準備

□実習先のweb調査

【実習計画表】

実習計画表(例) 上牧太郎  現在initial stage         最終目標  fourth  stage

土・日
 1週

8/1オリエンテーション

 8/2見学   8/3症例A開始   8/4A情報収集

検査測定

  8/5

  8/6.7

目標決定

 2週 8/8

プログラム作成

 8/9

A治療開始

 8/10

  8/11

  8/12   8/13.14
 3週second stage 8/15  8/16

A中間評価

  8/17

A目標再設定

  8/18   8/19   8/20
 4週 8/21  8/22   8/23

A最終評価

  8/24   8/25  8/26.27
 5週third stage 8/28

症例B開始

 8/29

B情報収集

検査測定

  8/30

  8/31

目標・プログラム決定

  9/1

B治療開始

  9/2.3

 6週 9/4  9/5   9/6   9/7   9/8   9/9.10
 7週 9/11  9/12   9/13   9/14

就職試験

  9/15   9/16.17
 8週

fourth

stage

9/18

B最終評価

 9/19

  9/20

ケース発表

  9/21   9/22

最終日

  9/23.24

実習計画表 name                  現在                  stage       目標                 stage

土・日
1週   /   /   /   /   /   /
2週   /   /   /   /   /   /
3週   /   /   /   /   /   /
4週   /   /   /   /   /   /
5週   /   /   /   /   /   /
6週   /   /   /   /   /   /
7週   /   /   /   /   /   /
8週   /   /   /   /   /   /

参考文献:

添田健仁:当院における臨床実習生とスタッフの経験年数から見た臨床実習の問題点の特徴—主成分分析による検討—、理学療法学 Vol39.Suppl.No2,2011

永冨史子:臨床実習の意味と重さ. PTジャーナル 32.508-511.1998

ハワード・ガードナー(松村暢隆訳):MI:個性を生かす多重知能の理論、新曜社、2001

アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ(藤井留美訳):本音は顔に書いてあるー言葉の嘘としぐさの本音の見分け方、主婦の友社、2006

花村太郎:知的トレーニングの技術〔完全独習版〕、筑摩書房、2015

エドワード・ホール(日高敏隆・佐藤信行訳):かくれた次元、みすず書房、1970